秋思(許渾)
秋思
秋思
秋思
- 〔テキスト〕 『唐詩選』巻七、『全唐詩』巻五百三十八、『三体詩』七言絶句・実接、『許用晦文集』巻一(『続古逸叢書』所収)、『丁卯集』巻上(『四部叢刊 初編集部』所収)、趙宦光校訂/黄習遠補訂『万首唐人絶句』巻二十九(万暦三十五年刊、内閣文庫蔵)、『古今詩刪』巻二十二(寛保三年刊、『和刻本漢詩集成 総集篇9』所収、65頁)、『唐詩品彙』巻五十三、他
- 七言絶句。秋・遊・頭(下平声尤韻)。
- ウィキソース「秋思 (許渾)」「丁卯集 (四部叢刊本)/卷上」参照。
- 詩題 … 秋の物思い。楽府題。ただし『楽府詩集』には収録されていない。『全唐詩』には題下に「一作秋日」とある。『許用晦文集』『丁卯集』では「秋日」に作る。
- この詩は、秋の物思いを詠んだもの。自身の老いを嘆いている。
- 許渾 … 791~854?。晩唐の詩人。潤州丹陽(江蘇省丹陽市)の人。字は用晦。一説に仲晦。大和六年(832)、進士に及第。監察御史、虞部員外郎、睦州(浙江省)の刺史、郢州(湖北省)の刺史を歴任。『許用晦文集』二巻・拾遺二巻、『丁卯集』二巻がある。ウィキペディア【許渾】参照。
琪樹西風枕簟秋
琪樹の西風 枕簟の秋
- 琪樹 … 美しい木々。琪は、玉の名。珠樹に同じ。庭木を喩える。孫綽「天台山に遊ぶの賦」(『文選』巻十一)に「建木景を千尋に滅し、琪樹璀璨として珠を垂る」(建木滅景於千尋、琪樹璀璨而垂珠)とある。ウィキソース「遊天台山賦」参照。
- 西風 … 秋風。
- 枕簟 … 枕と簟。簟は、竹で編んだむしろ。転じて、夏の寝具。
- 枕 … 『全唐詩』には「一作華」とある。『許用晦文集』『丁卯集』では「華」に作る。
- 秋 … (枕簟がひんやりとして)秋の気配を感じさせる。秋の気配が忍び寄ってくる。
楚雲湘水憶同遊
楚雲 湘水 同遊を憶う
- 楚雲 … 楚の空に浮かぶ雲。楚は、湖北・湖南省一帯を指す。
- 湘水 … 湘江の流れ。湘江は、広西チワン族自治区に発して湖南省を北上し、瀟水と合流して洞庭湖に注ぐ川。ウィキペディア【湘江】参照。
- 水 … 『全唐詩』には「一作月」とある。『許用晦文集』『丁卯集』では「月」に作る。
- 同遊 … 昔いっしょに遊んだ友人。
- 憶 … 思い出す。懐かしい。
高歌一曲掩明鏡
高歌一曲 明鏡を掩う
- 高歌一曲 … 声高らかに一節歌うこと。一曲は、一節。
- 掩明鏡 … 鏡を掩いかくす。明鏡は、曇りがない鏡。掩は、掩いかくす。ふたをする。伏せる。漢の班婕妤の「擣素の賦」に「秋風に対して鏡を掩う」(對秋風而掩鏡)とあるのを踏まえる。ウィキソース「擣素賦」参照。
昨日少年今白頭
昨日の少年 今は白頭
- 昨日少年 … 「昨日は少年」と読んでもよい。つい昨日までは若者であったが。阮籍「詠懐詩十七首 其の五」(『文選』巻二十三)に「朝には媚少年たるも、夕暮には醜老と成る」(朝爲媚少年、夕暮成醜老)とある。ウィキソース「詠懷詩十七首」参照。
- 今 … 今はもう。
- 白頭 … 白髪頭になってしまっているではないか。
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