未だ之を思わざるなり。夫れ何の遠きことか之れ有らん
未だ之を思わざるなり。夫れ何の遠きことか之れ有らん
- 出典:『論語』子罕第九30(ウィキソース「論語/子罕第九」参照)
- 解釈:それはまだ本当に恋しいと思っていないのだ。本当に恋しいと思っているのなら、何の遠いことがあろうか。「庭桜の花がひらひらと揺れている。あなたを恋しいと思わぬわけじゃないが、ただあなたの家が遠いだけ」という当時の歌謡を孔子が批評したもの。
- 論語 … 孔子(前552~前479)とその門弟たちの言行録。四書の一つ。十三経の一つ。二十編。儒家の中心的経典。我が国へは応神天皇の代に伝来したといわれている。ウィキペディア【論語】参照。
唐棣之華、偏其反而。豈不爾思。室是遠而。子曰、未之思也。夫何遠之有。
唐棣の華、偏として其れ反せり。豈に爾を思わざらんや。室是れ遠ければなり。子曰く、未だ之を思わざるなり。夫れ何の遠きことか之れ有らん。
- 唐棣之華、偏其反而。豈不爾思。室是遠而 … この四句の歌謡は『詩経』に採取されていない。逸詩。
- 唐棣 … 庭桜。庭梅。
- 偏其反而 … 「偏」も「反」も翻ること。「而」は助字。ひらひらと揺れている情景を指す。
- 豈不爾思 … どうしてあなたを恋しいと思わないことがあろうか。反語形。
- 室是遠而 … あんまり家が遠すぎて会いに行けないよ。
- 室 … 家。住居。
- 未之思也 … まだ恋する思いが足りないね。本気で恋しいと思っていないね。
- 夫 … 宮崎市定は「未之思也夫」の後で句点を打ち、「未だ之を思わざるかな」と読んでいる。
- 何遠之有 … 本気で恋しければ、どうして遠いことなどあろうか。反語形。
- 詳しい注釈と現代語訳については「子罕第九30」参照。
こちらもオススメ!
あ行 | か行 | さ行 |
た行 | な行 | は行 |
ま行 | や行 | ら行・わ |
論語の名言名句 |