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絵事は素を後にす

かいのちにす
  • 出典:『論語』八佾第三8(ウィキソース「論語/八佾第三」参照)
  • 解釈:絵を描くときは、まず彩色を施し、最後にふん(白色の顔料)を用いて仕上げる。これと同じように人間の優れた人格は、立派な資質に礼を加えて完成するということ。「ことは素を後にす」とも。
  • 論語 … 孔子(前552~前479)とその門弟たちの言行録。四書の一つ。十三経の一つ。二十編。儒家の中心的経典。我が国へは応神天皇の代に伝来したといわれている。ウィキペディア【論語】参照。
子夏問曰、巧笑倩兮、美目盼兮、素以爲絢兮、何謂也。子曰、繪事後素。曰、禮後乎。子曰、起予者商也。始可與言詩已矣。
子夏しかいていわく、こうしょうせんたり、もくはんたり、もっあやすとは、なんいいぞや。いわく、かいのちにす。いわく、れいのちなるか。いわく、われおこものしょうなり。はじめてともきのみ。
  • 子夏 … 前507?~前420?。姓はぼく、名は商、あざなは子夏。衛の人。孔子より四十四歳年少。孔門十哲のひとり。「文学には子游・子夏」といわれ、子游とともに文章・学問に優れていた。ウィキペディア【子夏】参照。
  • 巧笑 … 愛らしく笑う。
  • 倩兮 … 口もとが可愛らしいさま。「兮」は、感嘆や強調の語気をあらわす助辞で、読まない。
  • 美目 … 目もとの美しい目。
  • 盼 … 黒目と白目との境界がはっきりしているさま。目元が涼しいさま。
  • 素 … ふんで下地を塗ること。
  • 絢 … あや。美しい綾模様を施すこと。
  • 何謂也 … どういう意味でありましょうか。
  • 絵事後素 … 絵を描くときは、胡粉(白色の顔料)を一番あとに加える。朱子は「絵事は素より後にす」と逆に読み、「白い地色をもとにして、あとから彩色を施す」と解釈している。
  • 礼後乎 … 礼は最後の仕上げですか。
  • 起予者商也 … 私の言わんとするところを言ってくれるのは、商(子夏)だ。「起」は、啓発。
  • 始可與言詩已矣 … お前となら、ともに「詩」を語り合える。
  • 詳しい注釈と現代語訳については「八佾第三8」参照。
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論語の名言名句