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格物致知

格物かくぶつ致知ちち
  • 出典:『大学』経一章『大学』伝五章補伝(ウィキソース「四書章句集註/大學章句」参照)、『伝習録』(ウィキソース「傳習錄」参照)
  • 解釈:知識を推し極めて物事の道理を突き詰めること。物事の本質まで追究して知識を深くすること。『大学』の八条目(格物・致知・誠意・正心・修身・斉家・治国・平天下)の中の各々一つ。「格物(ものいたる)」は、一つ一つの物事ものごとの道理を窮めること。「致知(いたす)」は、知識を推し極めること。以上は、朱子の解釈。なお、王陽明は「格物」を「物をただす」と読み、日常のすべての行為について、誤りを正して先天的に持っている良知を磨き上げることとしている。「いたすはものいたるにり」とも。
  • 大学 … 儒教の経典けいてんの一つ。一巻。もとは『礼記』の中の一編であるが、宋代に朱子が本文を章句に分けて校訂し、自己の注釈を付して四書の一つとした。孔子の言葉を曾子が祖述したといわれる「けい」一章と、経についての曾子の注釈を曾子の門人が記録したといわれる「でん」十章からなる。ウィキペディア【大学 (書物)】参照。
  • 伝習録 … 明のおう守仁しゅじん(号は陽明ようめい。1472~1529)の語録および書簡集。上中下の三巻。上巻は1518年に薛侃せつがんが刊行。現行本は1556年にせん徳洪とくこうが刊行した。ウィキペディア【伝習録】参照。
〔大学、経一章〕
欲誠其意者、先致其知。致知格物
まことにせんとほっするものは、いたす。いたすはものいたるにり。
  • 欲誠其意者 … 自分の心に偽りを持たず、誠実な状態にしようとする者は。
  • 先致其知 … それに先立って自分の知識を推し極める。
  • 致知在格物 … 知識を推し極めるには、一つ一つの物事の道理を突き詰めることが大切である。
〔大学、伝五章補伝〕
所謂致知格物者、言欲致吾之知、在即物而窮其理也。
所謂いわゆるいたすはものいたるにりとは、れのいたさんとほっせば、ものいてきわむるにるをうなり。
  • 欲致吾之知 … 自分自身の知識を推し極めようと思うならば。
  • 在即物而窮其理 … 物事についてその道理を窮め尽くすことである。
〔伝習録、巻上〕
格物。先生曰、格者正也。正其不正、以歸於正也。
格物かくぶつう。先生せんせいいわく、かくとはただすなり。ただしからざるをただして、もっせいするなり、と。
  • 帰於正 … 本来の正しさに戻すこと。
〔伝習録、巻中〕
若鄙人所謂致知格物者、致吾心之良知於事事物物也。吾心之良知、卽所謂天理也。致吾心良知之天理於事事物物、則事事物物皆得其理矣。致吾心之良知者致知也。事事物物皆得其理者格物也。
じん所謂いわゆる致知ちち格物かくぶつごとものは、こころりょう事事じじ物物ぶつぶついたすなり。こころりょうは、すなわ所謂いわゆるてんなり。こころりょうてん事事じじ物物ぶつぶついたせば、すなわ事事じじ物物ぶつぶつみなるなり。こころりょういたすは致知ちちなり。事事じじ物物ぶつぶつみなるは格物かくぶつなり。
  • 鄙人 … 本来は田舎の人の意。ここでは自分をへりくだっていう言葉。
  • 良知 … 心の本体。万人が持っている行動の指針となる心の作用。
  • 事事物物 … あらゆる物事。一つ一つの事物。
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論語の名言名句