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嚢中の錐

のうちゅうきり
  • 出典:『史記』平原君虞卿列伝・平原君(ウィキソース「史記/卷076」参照)
  • 解釈:才能のある人は多くの人の中にいても、その才能が自然に外に現れてくることの喩え。「嚢中」は、袋の中。
  • 史記 … 前漢の司馬遷がまとめた歴史書。二十四史の一つ。事実を年代順に書き並べる編年体と違い、人物の伝記を中心とする紀伝体で編纂されている。本紀十二巻、表十巻、書八巻、世家三十巻、列伝七十巻の全百三十巻。ウィキペディア【史記】参照。
平原君曰、夫賢士之處世也、譬若錐之處囊中、其末立見。今先生處勝之門下、三年於此矣。左右未有所稱誦、勝未有所聞、是先生無所有也。先生不能、先生留。
平原君へいげんくんいわく、けんるや、たとえばきりのうちゅうるがごとく、すえちどころにあらわる。いま先生せんせいしょうもんること、ここ三年さんねんなり。ゆういま称誦しょうしょうするところらず、しょういまところらざるは、先生せんせいゆうするところきなり。先生せんせいあたわず、先生せんせいとどまれ、と。
  • 勝 … 平原君の名。
  • 称誦 … ほめたたえる。
毛遂曰、臣乃今日請處囊中耳。使遂蚤得處囊中、乃穎脱而出。非特其末見而已。平原君竟與毛遂偕。
毛遂もうすいいわく、しんすなわ今日こんにちのうちゅうらんことをうのみ。すいをしてはやのうちゅうるをしめば、すなわ穎脱えいだつしてでん。だにすえあらわるるのみにあらず、と。平原君へいげんくんつい毛遂もうすいともにす。
  • 蚤 … 「早」に同じ。
  • 穎脱 … 錐の先が突き抜けて袋の外にぬけ出る。
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